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「心と体の セルフケア(5)」 万物流転の法則より   21-1-8 中村憲雄

「心と体の セルフケア(5)」 万物流転の法則より   21-1-8 中村憲雄 published on

55年も前の話ですが、私がホンダに入社した当時は不況で出口も見えませんでした。副社長の藤沢武夫氏は心得として「万物流転の法則」について、いつも語っておりました。宇宙の森羅万象、すべてのものは現れては消えゆく運命にある。永遠に続くものはない。常なるものは無い。「誕生、成長、繁栄、衰退、滅亡」循環を繰り返す。個人や企業、国でさえも同じ運命である。仏教でいう「諸行無常」である。「変化を受け入れ、対応する」ことに集中すること。これに尽きる。ヒトの生き方もまた同じである。現在のような混迷の時代に、対応を考える1つのツールとして思い返しながら、自由に考察を広げて見ました。

1. 日本の神話「国生み」によると、伊邪那岐の命の「成り余れるところ」と、伊邪那美の命の「成り合あわざるところ」「さし塞ぎ」により、国が生まれ神々が生まれた。そして人もまた生まれた。全ての誕生の神聖な根源である。記紀にも記されております。

2. 旧約聖書の創世記によると、アダムとイブは蛇(サタン)にそそのかされ、禁じられていた「知恵」の実を食べ、エデンの園から追放された。労働の苦しみと産みの苦しみを与えられ、知恵を尽くし、二人から人類が広がって行った。産めよ、増えよ、地に群がり、地に増えよ。創造主は人間を温かく祝福された。

3. エデンの園は現代人でもあこがれる、何の苦しみや悲しみもない平和な天国であった。しかし新たな誕生もなければ進歩もない。穏やかで幸福ではあるが大きな喜びや満足感は薄い。エデンの園から離れて「万物流転の法則」に支配される世界の住人となった。様々な苦しみ障壁は尽きる事はなく続いた。やむなく課題を解決し、結果として前進する日々となった。言い換えれば、人間として進歩、成長するスタートであった。蛇(サタン)の「悪」を使った、新たな進化への旅路の「はなむけ」とも考えられる。

4. ギリシャ神話によると、開けることを禁じられたゼウスの箱を、パンドラは好奇心から開けてしまった。結果、様々な「災い」が飛び出してしまった。即ちヒトの「怒り、傲慢、暴食、強欲、嫉妬、色欲、怠惰」の7つである。こうして世界には災いが満ち、人々は苦しむことになった。唯一残った「希望」がよりどころではあったが。乗り越え解決すべき課題は、「内」にある。災いの元は、ヒトの、自由な内側にある。

5. 神話の世界から人類が生まれ、長い時間をかけ様々な歴史が繰り返された。国連の「世界人口白書2019」によると、2019年度の世界人口は77億1,500万人に達した。増えたものだ。人類は「知恵」を使い文明を発達させてきた。しかし様々な「災い」が世界にも国単位でも個人にも尽きることはなかった。ヒトの心の自由さが生んだ災いでもある。修正もまた自由ではあるが。「万物流転の法則」で考察を広げてみた。

6. 小惑星探査機「はやぶさ2」は科学技術の力で、小惑星の資料を持ち帰ってきた。太陽系の起源を探るのに役に立つと言われている。小惑星帯は火星と木星の間にあり、「惑星になりそこなった数十万~数百万の岩石の集合体」というのが通説である。木星の大きな重力が原因とか。一方では、昔は人類が住んでいた惑星であったが、核戦争により爆発した残骸との説もある。

7. 我々の住む宇宙は138億年前にビッグバンにより誕生した。太陽系は46億年前に超新星爆発をきっかけとして創られた。超新星爆発は星の寿命の最後とも言われ、内部にある核融合の燃料を使い果たした恒星は、自らの重力で収縮を始める。最後に大爆発を起こし宇宙空間に残骸をばらまく。ばらまかれた破片は新しい星の材料になる。まさに万物流転であり、1つの循環システムでもある。はやぶさ2はこれをどこまで証明できるだろうか。

8. 宇宙に存在する星雲(銀河)は大小あるが最近時の研究によるとその数は2兆個とのこと。ちなみに1つの星雲には平均2,000億個の星があるそうだ。ほとんどは中心部にブラックホールを有し、真っ暗な宇宙空間を背景に、様々な色彩の光を発し、ゆったりと回転している。万物流転の法則に支配されつつ。

9. 我々の住む銀河系(天の川銀河)は平均的サイズであり直径10万光年、厚さは中心部で1.5万光年、周辺部で1,000光年の円盤状である。我が太陽系は中心部より2.6万光年にあり、やや外側に位置している。空気のきれいな夜空に見える天の川は、円盤状の銀河系を横から見たものだ。そのような広大無辺な宇宙背景のなかで、ヒトの「万物流転の法則」の話になります。

10. 過去「セルフケア」の記事を度々投稿してきました。今回もこれにからみます。本年4月には79歳になります。押しも押されもせぬ後期高齢者です。万物流転の法則の下で誕生はしたものの、その後の成長や繁栄は全くおぼつかない。しかし衰退と滅亡は間近である。せめて星の最後の超新星爆発のように、後の世の誰かに、何らかの役に立つ材料を残せれば本望です。セルフケアが少しでも役に立てれば幸いです。

11. 前々回芸術家である岡本太郎氏の「自分の中に毒を持て」に少し触れました。人の心にはパンドラの7つの災いを誰しもが抱えております。「怒り、傲慢、暴食、強欲、嫉妬、色欲、怠惰」の7つです。これにより人類の歴史は謀略や虐殺に明け暮れた一面もあります。今現在、どこかで進行中でもありますが。戦争があれば平和の尊さが分かる。虐殺があれば、同情と憐憫が湧いてくる。善を認識するための、悪のお役目であるかも知れません。戦争と平和、男と女、希望と絶望、共産主義・全体主義と資本主義・民主主義、相対するものがあるから、全体像を理解しやすいとも言えます。

12. 日常生活においても7つの災いは、ヒトの幸福を阻む原因の1つです。「7つの毒」とも言えます。毒でもって毒を制す」。これが太郎氏の提案ではないでしょうか。まさに「薬」と同じかもしれません。太郎氏の本は、何度読んでも解釈が難しい。いまだに消化でき切っておりません。文章や表現は大変わかり易いのですが。しかし7つの毒(悪)善への転換も、面白い見方と思います。「希望」の役割かも知れません。(下記)

13. 「怒り」→善への活動エネルギーの源泉とする。「傲慢」→自分自身の誇りを取戻す。「暴食」→食品の栄養、健康、味の良さ等価値を再考する。強欲」→不可能にも思える大きな目標と行動力を持つ。「嫉妬」→欠点の指摘よりも相手の長所や良さを認識する。「色欲」→誰しもが持つ自然で強力な性エネルギーを善への活動エネルギーに転換する。「怠惰」→休息の価値を認識し、心身の健康管理を増進する

14. 太郎氏の提案は「より自分らしく、より人間らしく」生きよと言っているようです。言葉の例では、自分自身の最大の敵は自分自身だ。自分と戦え。自分を崖から突き落とせ。楽な道や甘えた生き方と決別しろ。自分自身の生きる筋は、誰にも渡すな。村八分や孤独や自分の運命などは、気にするな不成功や失敗や結果はどうでも良い。「下手で結構」と割り切れ。好奇心に目を向けよ。熱く燃えるものに挑戦しろ等々。

15. まさに「毒でもって毒を制す」です。セルフケアで言う「真の自分」意識に芽生えよ。潜在意識・顕在意識(脳)と身体を支配せよ。「真の自分」が「自分自身」に対してリーダーシップを取れ。と同じようです。小さな喜びや小さな幸せを目標とし、それに浸っている。それ自体は悪いことではない。しかし人間らしい、もっと大きな「歓喜」が存在するのだ。もっと「進化する道」があるのだ。それを求めよ、とも言っているようです。

16. 「芸術は爆発だ」という有名な言葉があります。最初は奇をてらい受けを狙っていると感じておりました。しかし読んでみると、そうではなさそうです。一度きりの人生で、今まで気づかなかった真の喜び、感動を知るべきである。根本は「ありのままで良い」が今までの流れから方向性を変えてみよ。変化してみよ。「人生を熱く燃えさせてみよ」の提案です。本当に人間らしい、生き生きとした人生を送るための、1人の芸術家の魂の叫びのように感じられました。

17. 才能が無ければ無くて良い弱くても強くなろうとジタバタするな。他人が見てバカバカしいものでも、たとえ危険な道でも、自分が良いと思えることを腹の底から追い求めよ。挑戦せよ。日常生活では、瞬間瞬間の分かれ道がいつもある。小さな決断を下し、選択し、小さくても全力を尽くせ。日常生活の、小さな1コマが大切だ。特別なことではない日常でのわかり易い提案のように思えます。自らの体験がベースになっている感じです。

18. 「成り余れるところ」と「成り合あわざるところ」の「さし塞ぎ」には、伊邪那岐と伊邪那美の「したしき心の寄せ合い」があったとも記されております。元々は全ての誕生の根源であり、天から祝福された神聖な営みです。性欲の捌け口、快楽の果てしない追及など現代的な見方にプラスして、「心の向き合い」の観点が大切と思われます。それなしでは歓喜にはたどり着けない。「快楽行為」の追究だけでは、空しい。

19. 心の寄せ合いは、相手に「本気で心を向ける」ことがスタートです。優しい気持ちそっと意識を向ける。関心を向ける。理解しようとする。より深くより広く。オリンピックの目標と同じようです。相手の感情のフィードバックも感じる。しかし優しくディスタンスを保つ」こと。客観的に見守るポイントと思われます。別人格ですから。男女間でも、ヒトとヒトの付き合いでも、根本は同じようです。太郎氏自身も様々な交際を通じ、女性に対し、ヒトに対し真正面から「本気で対応」していたようです。

20. 現代人は頭での理論を優先しがちと言われております。相手の「感情」への対応が薄い。思いやりが希薄自分ファースト。自己利益を過度に優先し過ぎている。ヒトも組織も国も皆同じ様です。激動の時代であるからこそ、心の寄せ合い、様々な「愛」の姿再確認が必要なのかも知れません。

21. 万物流転の法則下では、自分自身も含め誰しもが発展途上人です。100点満点は誰もおりません。欠点は理解しつつも、長所をクローズアップして見たいものです。程度問題もありますが、許しと寛容の気持ちも必要かも知れません。「心の寄せ合いに」近づければとも思います。7つの災い怒り、傲慢、暴食、強欲、嫉妬、色欲、怠惰」を薄めるキーワードにもなり得るかも知れません。全て内側の問題です。

22. 岡本太郎氏の著作を読み、これを参考に万物流転の法則や神話の新解釈を交え、考察を広げてみました。1つの叩き台です。1つの小さな提案でもあります。新型コロナは、リーマンショック以上の影響があるようです。コロナが収束しても、世界の政治・経済・社会は元に戻ることはない。サプライチェーンも大きく変わる。世の中が大きく変化する。ピンチもあればチャンスもまたある。激動の真只中の認識です。

23. どう対応を図るのか。知恵をすり合わせて考える必要があります。よく「見る」ことがスタートと思います。CAP-Dの「Cチェック」です。現状把握です。外の世界も、自分自身の内側も。かつて経験したことのない激動の時代ですが、万物流転の法則の1コマに過ぎません。

24. 自分自身の幸福追求を目標の第一とするのは当たり前です。しかし個人よりもチームを組み、行動し、幸福を広げる手段を探ることも効率が良いように思われます。様々な混迷の中で「変化を見て、変化を受け入れ、変化に対応する良いタイミングではないでしょうか。本年度の初めの、1つの小さな参考意見として、叩き台として見て頂ければ幸いと思っております。

以上

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